LS3/5Aについて

BBCモニターLS3/5Aで聴こう

ノリのいい話

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YouTubeやニコ動にUPしていただいているたくさんの動画を拝見しているうちに、当時のテレビ放送では分からなかった微妙な違いに気付くことがあります。例えば次の3本の「白いパラソル」。

1本目は、通称”鳩パラ”

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2本目は珍しいピンクのワンピース

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3本目は”振り向けば”

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 衣装と髪型が違っているのはもちろんですが、ここでは体 - 特に手 - の動きに注目します。サビの三小節分を書き出してみると次のよう。赤い文字のところで手が前に出る、つまりリズムのアクセントを置く位置なのですが、それがみんな違っているのです。(縦線は小節の区切り、スラッシュは四分音符の区切り)

  1. なー/ーー/ーぎ/さに|ーー/ーー/しろ/ーい|ぱー/ーー/ーら/そる|ーー
  2. |なー/ーー/ーぎ/さに|ーー/ーー/しろ/ーい|ぱー/ーー/ーら/そる|ーー
  3. なー/ーー/ーぎ/さに|ーー/ーー/しろ/ーいぱー/ーー/ーら/そる|ーー

1本目は普通の4拍子で、1拍目と3拍目が強い表ノリ。
2本目は逆に2拍目と4拍目が強い裏ノリ。
3本目は驚くべきことに、2小節分を1小節とみなして、その1拍目と4拍目にアクセントを置くという半速・変則ノリ。

松田聖子はリズム感がハチャメチャ、ではなくてその逆、いつも同じに歌うのは飽きちゃうから、伴奏の違いに合わせて遊んでいたのかもしれませんね。

 

なぜこんなことができるのかというと、もちろんリズム感が良いからなのでしょうが、それでは「リズム感」とは一体何?

YouTubeを見ていたら、ボイストレーナーの方が聖子ちゃんの歌を分析した一連の動画の中に、なるほどと思える説明があったのでご紹介します。(動画自体は垂れ流しのお喋りがかなり冗長なので、倍速かつ飛ばし再生でポイントだけ聞くことをお勧めします。)

 

 解説を聴いた上での個人的な理解は、普通の人は体内にメトロノームを1台しか持っていない(あるいは全然持っていない)のに、リズム感の良い人は何台も持っていて、それが同時にカチカチ動いているというイメージです。

 

例えば「チェリーブラッサム」のAメロの出だしは裏ノリです。

なー/にー|もー/ーか/もー/ーー | ーー/ーー/めー/ざー|めー/てく/ーー

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Aメロの2回目の出だしから表ノリに切り替えます(赤文字でスクワット)。

あーなー|たー/ーと/のー/ーー|ーー/ーー/やー/くー|そー/くが/ーー

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チェリーブラッサムが「大嫌いだったのよ」とはご本人の弁ですが、おそらく先行3曲のクォリティに比べて、たった二小節分のフレーズの繰り返しで構成されている素朴さ・単調さがイヤだったのではと思えます(加えて長調なのに平行短調くさくて暗い)。「少しずつ春」を知っていたとしたら尚更ですよね。

しかし、どうせ歌わなければいけない曲なら好きになれるように変えてしまえ作戦で生まれたのが、Aメロ前半のバックビートで肩を入れる2ステップと、後半の聖子スクワット。前半ではスカートが捻られて回転し、後半では体が沈むたびに髪とスカートがふんわりと広がるように揺れて視覚的な効果が抜群、劇的なアレンジと相まってメロディーの単調さを長所に変えることに成功しています。

こういうことは、表ノリ、裏ノリ自由自在なリズムが身体に染み付いていないと発想できないことでしょうし、いくつもある動画の中ではたまにAメロ前半から表ノリで歌ってしまうという柔軟性も見せたりするわけです。

 

3+3が部分的に4+2になる、こんなのもへっちゃら。

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<追記>

次の動画はBで取り上げられた「真夜中のドア」。0:57辺りから二人の体の動きを見るとよく分かります。二人とも速いビートと遅いビートの両方にノッていますが、聖子ちゃんは遅いビートの要素が強く、みきさんは速いビートの要素が強いように見えます。

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