LS3/5Aについて

BBCモニターLS3/5Aで聴こう

LS3/5AとiLoud Micro Monitorの過渡特性の比較(単発サイン波による)

 

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  上の動画は前回の記事「LS3/5Aの言い分」でお聴きいただいたLS3/5AとiLoud Micro Monitorによる男声再生で、原録音と比べると両者ともに余計な響きが付加されていることが分かりますが、iLoud Micro Monitorの方が響きが大きいようです。

それを確認するために一周期分のサイン波(50Hz, 100Hz, 500Hz, 2500Hz, 12500Hz)を再生してその波形を観察することにしました。サイン波はPCフリーソフトAudacityで発生させ、iPhoneのボイスメモ(モノラル )を用いてスピーカーの前面約20cmの距離で録音したものです。(なお、下のグラフは全て時間軸方向の同期は取れておらず、目分量で並べただけです。)

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全体比較

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50Hz

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100Hz

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500Hz

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2500Hz

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12500Hz

 LS3/5AもiLoud Micro Monitorもクロスオーバー周波数は3000Hzなので、50-2500Hzの4枚のグラフは主にウーファーの出音波形であり、最後の12500Hzのみツイーターの出音波形です。両機種ともサイン波形すらまともに再生できていませんが、さらにiLoud Micro Monitorのウーファーは振動がなかなか収まらず、特に50Hzと100Hzでは入力信号がゼロになってから0.1秒近くも振動し続けるので、明らかに耳に聴こえる残響になるはずです。

これはダンピングファクターが悪いのとよく似た現象なので、試しにLS3/5Aの入力端子に抵抗器(1オーム x 3本)を直列接続してダンピングファクターを35から2.5に低下させてみました。なお、アンプはバイポーラトランジスタを使用した極めて一般的なものです。

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LS3/5Aの入力端子に抵抗器を直列接続

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LS3/5A+3ohm  (50Hz)

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LS3/5A+3ohm  (100Hz)

結果は波形自体はほとんど変わらず、収束する時間も同様です。(上には50Hzと100Hzのデータだけ示しますが、500-12500Hzも同様でした。)

この実験から言えることは、iLoud Micro Monitorの制動状態をLS3/5Aで再現しようとするならば、3オームどころではなくて相当に高い抵抗を入れる必要がありそうだということです。スピーカーケーブルだと一番細い0.33mm^2のものの抵抗値が0.1Ω/mなので、30m以上必要になりますね。ケーブルの音質がどうのという以前の問題のようです。

やはりiLoud Micro Monitorは、75mmウーファーで55Hz(-3dB)を実現するために過渡特性の面で大きな犠牲を払っていることが分かりました。ピュアオーディオの人たちは過渡特性にうるさいので、こういう製品は受け入れられないだろうと思います。私はピュアオーディオの人ではないので、それなりに気に入ってますが。

 

<追記>

ダンピングファクターを間違えて25と書いていたのを修正しました。計算は次の通り。

アンプのダンピングファクターDF:約35(製作者からの情報)

アンプの出力インピーダンス=8/35=0.229 Ω

LS3/5Aのインピーダンス:最低8 Ω(誤解のもと - LS3/5Aについて参照)

3Ωの抵抗器を追加したときのDF=8/(0.229+3)≒2.5

こんなにDFが低いのに波形がほとんど変わらないのは何かの間違いかと思い、再度測定して見ましたが結果は同様でした。

しかし、アナウンスを聴き比べると、音量差の問題は差し引いても、私には3オームを接続した方がいくらか低域が減る(あるいは中域が張り出す)ような感じがします↓

youtu.be

 

<追記2>

念のため、クロスオーバーネットワークを持たないフルレンジユニットFOSTEX FE83En(8オーム)でも直列抵抗3オーム無/有の波形を確認してみました。50Hzは波形が小さいため、100Hzと500Hzの結果を下に示します。アンプの音量つまみは同じ位置なので3オームを接続したときの波高が若干低いようですが、波形の変化はほとんどありませんでした。DF=2.5でこれほど影響が出ないのも意外です。アンプのDFは当方所有の個体を実測した値ではないので、実際はもう少し高いのかもしれません。

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FE83En (100Hz)

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FE83En + 3ohm (500Hz)