LS3/5Aについて

BBCモニターLS3/5Aで聴こう

LS3/5Aの評判〜マイ・ファニー・ヴァレンタイン

前回書いたとおり、ノスタルジーから衝動買いしたLS3/5Aは、幸いなことに状態が良くて私にとっては満足のゆく音質(というか、音質どうこう言えるだけの耳がない)でしたが、やはり世間の評判は気になります。ネット上にはプロのレビューからユーザーのブログまで様々な評価があり、それらを読むと一つの共通点が見えてきました。多くの場合、賞賛というよりは留保が先に来て、その後でおずおずと肯定的な言葉が出てくる。これは今に始まったことではないようです。例えば次のレビュー。

https://www.markhennessy.co.uk/rogers/ls35a_review.htm

注意:このレビューはMartin Collomsによって書かれ、1986/87 Hi-Fi Choice LoudspeakerYearbookに掲載されました。元の著作権の所有者に連絡することができませんでしたのでご注意ください。あなたが元の著作権の所有者である場合は、私に連絡してください。必要に応じて、このサイトから削除します。

 

(中略)

音質
LS3 / 5aは、以前のライブ対レコーディングセッションで一貫して良好に機能し、アナログプログラムソースでもかなり良好に機能しました。しかし、デジタル素材では、アナログ素材によって示唆だけされていた問題が明らかになり、この設計のサウンドがより時代遅れになりました。いくつかの分野が批判を集めました-低音は伸びがなく、高音域で「ブーム」に聞こえ、中音域は著しく「ハード」で「鼻にかかった」音質で、高音は極端なトップエンドで粒子の粗い「ザラザラした」効果で前方に見えました。いくつかの「鈍い」、木箱のカラーリングも明らかで、ステレオの深さは適度に表現されています。

しかし、それは、適度に正確な音のバランスで、優れた声の詳細と明瞭さを提供し続けました。 GoodmansバージョンとSpendorバージョンの比較では、非常に類似していることが示されましたが、Audiomasterのはるかに古いモデル(現在は生産されていません)は、比較するとわずかに暗く聞こえ、中程度の鼻音は少なくなりました。ただし、スピーカーの基準による違いはわずかでした。

 

(中略)

結論
BBCを怒らせるリスクがあるので、3 / 5Aは改訂の予定であると感じています。実用的な放送ツールとしては間違いなくその役割を果たしますが、バリューエンジニアリングの一部としては遅れ始めています。他のスピーカーは、価格の漸進的な低下と音質の改善を示していますが、LS3 / 5aは、インフレに合わせて価格がほぼ着実に上昇しています。それにもかかわらず、最新のリスニングテストでは、LS3 / 5aのスコアは推奨を維持するのに十分でした!

最初のレビュー:Rogers 1978、Goodmans and Spendor、1983(1984年に再テスト、1985/6に再評価)。現在の典型的な価格£220。

google翻訳使用)

こういう褒め方のパターンはどこかで目にしたことがあると思って探したら、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」でした。(ジャズシンガーYANNIEさんの素敵な和訳をご覧ください。-> https://blog.theyannie.com/my-funny-valentine/ ) 

 

また、LS3/5Aを26組も所有しているおそらく世界一のコレクターJo Ki氏も、自身が主催するFacebookのグループで、はるかに優れたスピーカー(far better than LS3/5A)の存在を認める発言をしています(2021/6/28の投稿へのコメント)。

 

このように、もともと諸手を上げて絶賛できるほどの高音質とは言い難いにもかかわらず、現在でも中古品が高値で取引され、当時の設計を引き継いだ復刻版が複数社から販売され、安価な(と言っても結構高い)コピー商品も出回っているというのは一体どういう訳でしょうか(下の写真)。

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コピー商品

いやいや、それは中古品を高く売りたい業者や個人がまことしやかな伝説を語って"BBCモニター"のブランドが一人歩きするようになった、つまり過大評価による作られた人気だよという意見もあります。しかし、果たして"BBCモニター"の神通力だけで、45年間も人気を維持することができるものでしょうか。ひとりの男に26組も集めさせる情熱を与えられるものでしょうか。(他のBBCモニターはどうした?)

1976年以来、おびただしい種類のスピーカーが開発され販売されて来た中で、なぜLS3/5Aなのか。これを論じると長くなりそうなので、今回はここまでにしておきます。

 

<追記>

評判を聞いてLS3/5Aが素晴らしく良い音だという憧れが膨らむようなら、次の記事でクールダウンして、CM1をヤフオクで落札すべきです。6万円くらいで入手できるはずです。

http://sapporo-audio.web01.jp/?p=791

(参考)B&W CM1の仕様

形式:2way バスレフ(25mmメタルドーム・ツイーター、130mmケブラーコーン・ウーファー

再生帯域:45Hz-50kHz (-6dB)

能率:84dB (2.83V/m)

公称インピーダンス:8Ω

クロスオーバー周波数:4kHz

寸法:W165mm・H280mm・D276mm

重量:6.7kg

定価:127,600円(2007年?)

 

 <追記2>

Yahoo!知恵袋のQ&Aでの回答です。

こんな物に大枚叩くのは馬鹿ですよ。

BBCモニター系スピーカーLS3/5Aそんなに音いいんですか?オー... - Yahoo!知恵袋

 だそうです。まあ、手段が目的になることを趣味と言うそうですから、”馬鹿”というのは褒め言葉かもしれません(笑)

聴かずに買ったLS3/5Aはどんな音?

前回にも書いた通り、私はLS3/5Aを広告で知っていただけで実物を見たことすらありませんでした。音が命のスピーカーを試聴もせずに購入するというのは暴挙のようですが、実はオーディオ機器の満足度を決めるのは見た目であって、物理的な音響特性ではないのです。そうでなければ、ブラインドテストで1万円のアンプに負ける300万円のアンプの存在理由がありません。

宅配便で届いた品は傷も少なくて前オーナーが大切に使っていたことが分かるものでした。さっそくミニミニコンポのスピーカーをLS3/5Aに取り替えてCDをかけてみると、当然ながら立派な音がします。私はオーディオ詩人ではないので音質を花のような言葉で表現することはできないけれど、あえて言うなら地味(滋味)な音でしょうか。いつまでも聴いていられます。もしオーディオ店で他の製品と比較試聴していたら選ばなかったかもしれない、そういう音です。

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'95年製11オーム版バイワイヤリング仕様

 とはいえ、個人的には音響特性も気になるので、iPhoneアプリスペクトラムアナライザーで周波数応答特性を調べてみました。それぞれのスピーカーについて、ツイーターとウーファーの間の高さで前面グリルから20cmぐらいの位置にiPhoneを手でかざし、ピンクノイズを30秒間流して測定した結果を下に示します。二枚のグラフを重ねて表示したもので、赤はスピーカー右の大きい箇所、青はスピーカー左の大きい箇所、白っぽく見えるのが共通部分です。5kHz以上で右(赤)のレベルがやや高くなっていますが、これはiPhoneの位置決めがいい加減だったからかもしれません。その他の点では、製造から20年以上経っていることを考慮すればまあまあ一致していて、大きな異常は見られませんでした。

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二台の周波数特性の重ね合わせ(赤が右, 青が左)

 

ついでにミニミニコンポ付属のスピーカー(93mmウーファ+37mmツイータ)も測ってみました。バスレフなので130Hzぐらいから下は急降下しています。低域が無いのと中域の張り出しのせいなのか、ガチャガチャした感じがして長く聴くと疲れます。

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ミニミニコンポ付属スピーカー



 

 

こんなに小さくても75,000円

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まだ私がモノラルのラジカセしか持っていなかったころに『レコード芸術』(1976年9月号)で目にしたこの広告。本や電話機と共に机上に置かれた高嶺(値)の花の古風な姿に一目惚れし、いつかこんな席に座りたいと思いました。

しかし就職して給料が入るようになると、やっぱりオーディオは低音だ30cm-3wayじゃなきゃダメだと宗旨替えしてダイヤトーンの大型ブックシェルフを買ったまでは良いけれど、これが悲しいくらいに低音が出ない。それもそのはず、原音再生(原音と同じ音量と音質)を目指して設計されたスピーカーを、近隣に遠慮した極小音量で鳴らしたところでまともな音が出るわけはありません。オーディオは機器よりも環境だと悟りました。

やがて所帯を持ち、狭い借家に家族が増え、場所をとるオーディオは処分というコースをたどって早くも25年が経過。空いた子供部屋のミニミニコンポで音楽を聴くようになり、そうするとだんだん物足りなくなってきます。スピーカーでも取り替えようかなとインターネットを覗いて出会ったのが忘れじの面影、LS3/5Aでした。

中古品価格が当時の価格とたいして変わらないので戸惑いましたが、それだけ人気があるならむしろ間違いないだろうと、写真でしか見たことがないまま落札。いわゆる大人買いというやつです。さて、どんな音がするのでしょうか。